love isの来歴

love is の来歴

「戰争に反對する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである。」 吉田健一

9月16日にTokyo Recordings 酒本信太さんといっしょに制作した音楽作品を発表することになりました。作品集は、”love is”というタイトルで、12曲収録されています。2016年7月にいっしょにネパールを訪れた時に見た景色や出会った人や出来事、吸い込んだ空気や熱かった太陽がそのまま音楽になりました。

私たちはひとつき、共に旅をする間、特に作品を作ろうとしていたわけではなかったのですが、旅先であまりにもいろんなことがあって、それが音楽という形をもって世界に飛び出てきました。あるときは、私が口頭で創作したものがたりに応答するようなかたちで曲ができたり(Saiという曲です)、あるときは私がまちあわせに遅刻して、まちぼうけている40分の間に酒本さんが詩をかいてくれて、それが曲になったり(HOHOEMIという曲です)。そうやって自然とたくさんの音楽がうまれました。そのなかから、12曲をはじめての作品集としてまとめてみようということになりました。

私は17歳のときにネパールをはじめて訪れ、この国と関わって今年で8年になります。この8年間でいちばんまなんだことは、ほんとうにだれかのためなにかしたいなら、まずは自分自身のためにいきなければいけないということでした。「世界が平和で美しい場所であるためにできることはなにか」という問いに、私は冒頭の吉田健一氏の言葉をそっくりそのまま引用したいと思っています。「各自の生活を美しくして、それに執着することである。」

音楽をつくるということについては、私はまったくの門外漢でしたが、酒本さんのたすけもあり、発声を練習したり、筋力トレーニングなどをして、歌を録音しました。なにもなかったところから、声をかさねて、ピアノの音をかさねて、音楽がたちあがってゆくことに、これまでにかんじたことのないくらいおおきなよろこびがありました。うたうことや、ふっとわいたメロディーをくちずさむことって、こどものときは、うれしいときや感動したときに自然としていたことだったな、と思い出しました。そして、創作することは、 ひっしになってひねりだすことではなくて、 思い出すことだ。じぶんの内側に耳をすまして、そうして自分の内側すらもとおりこして、ひろいひろい宇宙の声を聴くことなのだということをしりました。ここに収められた12曲は、そうしてやってきた音楽です。

「ぜんぶある。」という感覚がこの作品には満ちています。この作品集は、おそらく私がおとなになってからはじめて、じぶんの素直な好奇心や喜びだけで作ったものです。いいかわるいかなんてわからないし、どうでもいい。きっとじぶんのこどもがうまれたらこういうきもちなんだろうなとおもいます。ぶすだろうが、ちびだろうが、はげだろうが、なんだっていい。とにかくいとしい。

時代はおおきく変化していくし、人間に残される唯一の仕事は「創造」することになるという確信があります。あたらしい時代を、喜びいっぱいに創造をしながらいきてゆきたいし、私もそういうことに関わってゆきたい。この一連の創作は、私自身の生活を美しくしたいというおもいによって突き動かされたごく個人的な営みです。それでも、もしよかったら喜びと愛いっぱいに作ったこの作品を、聴いていただけたらうれしいです。

最後に、こうして作品として発表するためには、たくさんの人の支えが必要でした。背中を押してくださったすべてのひとへ、この場をかりて、心からの感謝を申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

 

向田麻衣

2017年8月

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